■プレスリリース(報道関係者向け)

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 2017年秋、『新編 日本一醜い親への手紙』(仮題)という本を出版します。

 親から虐待された当事者100人の「親への手紙」を公募で集めて1冊に収録し、さまざまな虐待の深刻さを浮き彫りにする本です。

 フリーライターの今一生(こん・いっしょう)は、編集者としての名義「Create Media」で、1997年に『日本一醜い親への手紙』という本を出版しました(※右の画像)。

 今回、20年ぶりに新たに公募・編集することにした理由は3点あります。

(1) 25年間で虐待件数は約100倍、今年は急増

 全国の児童相談所へ寄せられた虐待相談の件数は、厚労省が調査を始めた1990年(平成2年)は1101だったものの、右肩上がりに増え続け、2015年(平成27年)の速報値は103260
 過去最高(最悪)を更新したのです。
 相談件数は25年間で約100倍に増え、虐待の内実も見過ごせない事態になっています。



 今年(2017年)も、虐待による事件が全国各地で頻発しています。
(※報道されたのはごく一部)

14日、東京都立川市の住宅の物置で非常勤講師の男(71歳)が、無職の娘(37歳)の首にロープをかけて殺し、自分もひもで首をつって自殺(産経ニュース
★110日、生後6か月の長女に頭蓋骨骨折などの重傷を負わせたとして、大阪府警は無職の母親(25歳)を逮捕(東スポ
23日、シングルマザー(28歳)が交際相手の高校3年の男子生徒(18歳)と一緒に4歳と3歳の女児を殴り、ケガを負わせ、傷害の疑いで茨城県警に逮捕(J-CAST ニュース
215日、小学2年の双子の兄弟に暴行を加えたとして、府中市の職業不詳の男(35歳)を逮捕(朝日新聞
223日、東京都足立区の住宅で母親(39歳)が包丁で自分の首などを切り、小学5年の息子(11歳)の顔や背中を刺して重傷にし、通報(朝日新聞
225日、生後6カ月に重傷を負わせたとして、札幌・西署は会社員の父親(34歳)を逮捕(産経ニュース
32日、交際相手の女性の息子(1歳)を持ち上げて投げつけ、意識不明の重体にさせたとして、兵庫県の無職男(23歳)を逮捕(朝日新聞
32日、交際相手の女性の娘(当時1歳10カ月)を手の甲で殴ったとして沖縄県警が28歳の男を逮捕(沖縄タイムス
38日、当時1歳だった長女(2歳)にインスリンを投与して低血糖状態にさせたとして、大阪府警は傷害容疑で無職の実母(21歳)を逮捕(産経WEST
313日、保育園児の長男(5歳)の太ももを骨折させたとして、岐阜県警は自衛官の男(28歳)を逮捕(中日新聞
313日、生後9カ月の次女を床に落として殺害したとして、大阪府警は無職の母親(30歳)を逮捕(産経WEST
★3月31日、生後6カ月の長男の胸などを圧迫して死亡させたとして、奈良県警はアルバイトの母親(22歳)を殺人容疑で逮捕(毎日新聞
45日、中学2年の息子の頭を携帯電話で殴るなどして全治1週間のけがをさせ、福島県いわき市の会社員の父親(50歳)を傷害容疑で逮捕。息子の体には日常的に暴行された跡が残っていた(日テレNEWS24
★4月6日、フライパンで殴ったり、のこぎりを顔に押しつけて長男(5歳)にけがをさせたとして、大阪府警は会社員の父親(33歳)と妻(28歳)を傷害の疑いで逮捕(毎日新聞
47日、生後1カ月だった長女の脳にけがを負わせたとして、京都府警は無職の母親(32歳)を逮捕(京都新聞
411日、1歳の次男の頭を拳で殴って重傷を負わせたとして、埼玉県警は傷害容疑で会社員の父親(23歳)を逮捕(時事通信
4月19日、北九州市で20歳の専門学校生が冷蔵庫に生まれたばかりの男子を入れて殺し、自殺テレ朝news
423日、兵庫県伊丹市の会社員(40歳)が娘(4歳)を無理心中に巻き込んだ現場が警察に確認された(時事通信
426日、小学3年の次女(9歳)の顔面や背中、手足を蹴り、けがを負わせたとして、群馬県警は前橋市の会社員の義父(32歳)と無職の妻(34歳)を逮捕(産経ニュース

 2014年(平成 26 年)4月から2015年(平成 27 年)3月までの1 年間に厚生労働省が把握した「子ども虐待により死亡した事例」は、心中以外の虐待死事例では 43 例(44人)、心中による虐待死事例では 21 例(27 人)であり、虐待によって亡くなった子どもの総数 は71 人でした。
 日本のどこかで、ほぼ5日ごとに1人の子どもが虐待で殺されています


 貧困化や離婚などによって子育てが孤立化し、一番弱い子どもにしわ寄せが来ているのです。
 そこで生き残れても、心身に傷を負ったまま生涯に渡って生きづらさを抱えたり、養護施設に預けられる人もいます。

 あるいは、家の中での隷属関係が、学校内での弱い者いじめや不登校、摂食障害、家出、自殺などにつながったり、親に植え付けられた自己評価の低さによってニートやひきこもりの暮らしを余儀なくされるおそれもあります。

 それでも、未成年のリアルタイムな虐待の実態は、小学生の頃からスマホを利用している今日なら、インターネットを通じて当事者から公募すれば誰の目にも明らかになるはず。
 なのに、誰も公募をやっていません。

 学校やフリースクール、塾や学童保育などの教育現場で、子どもたちに「親への手紙」を書いてもらえれば、「つらいので親にやめてほしいこと」が浮かび上がり、虐待の早期発見と児童相談所への通告が容易になります。

 そこで、今回はネット上の公募はもちろん、そうした教育機関・養護施設などを通じて、未成年の「親への手紙」が集められるよう働きかけていきます。
 つまり、この公募自体が、虐待の苦しみをこじらす前の予防策になるのです。


(2) 20年前には見えなかった新しい虐待の実態も伝えたい

 厚労省は、身体的虐待・心理的虐待・ネグレクト(育児放棄)・性的虐待を児童虐待の典型例として示しています。

 しかし、今日では、子どものお金を親が不当に奪う「経済的虐待」や、親自身が精神病やカルト宗教団体の信者などによって子どもが一般社会となじめなくなる「文化的虐待」など、報じられることがまだ珍しい新しい虐待の実情があります。


 日本は2010年、「国連子どもの権利委員会」から公式な報告書内で勧告を受けています。
 被害を受けた児童の権利の保護(第 8条、第 9 3 及び 4)で、以下のように書かれているのです。

40.委員会は、カウンセリング・サービスの提供など締約国がこの点に関して講じてきた措置にも関わらず、選択議定書に基づく犯罪の被害者を対象とした身体的及び心理的回復ならびに社会統合のための措置が依然として不十分であることに留意する。

41. 委員会は、選択議定書第93に基づき、特に被害を受けた児童に分野横断型の支援を提供することにより、また、適切な場合には、被害者の出身国との連携及び二国間協定を通じて身体的及び心理的回復と社会統合のための措置を強化するために、使途を特定した資源配分が行なわれることを確保するよう、締約国に勧告する。

 ところが、安倍政権下の日本では、軍事費ばかりが増え、虐待対策への予算割当が少なく、虐待相談だけが増えています。
 これでは、児童相談所の職員は不足したまま。
 虐待された子どもを救うことができないどころか、虐待を減らす仕組みすら作れません。

 児童虐待の被害者の多くは、18歳未満。
 彼らには選挙権がありませんし、教育現場では主権者マインドも育てられておらず、虐待対策の予算を増やすように国に訴える方法さえ知りません。

 政治家にとって得票になる高齢者向けの医療・福祉が手厚く、次世代の若者はただでさえ増税と借金のツケを払っていくのに、虐待対策さえ進まないのなら、この状況は「政治的虐待」かもしれません。

 子どもを守るはずの大人たちが、あまりにも子どもの生きる権利に関心が足りてなかった結果、家という密室で隠蔽されてきた児童虐待の加害者が告発・逮捕されにくいままになっているばかりか、強すぎる親権のために被虐待児の一時保護や里親の元での養護も難しいままなのです。

 もちろん、子どもだけで法テラスのような相談機関を通じて親を法的に訴えることも難しく、事実上、泣き寝入りするしかありません。

 それが嫌で、生き残るために、自分を当たり前のようにレイプし続ける父親を殺し、刑務所に行った少女もいます。
 僕の大事な友人3人は、親に虐待されてうつ病になり、病をこじらせ、生活保護の暮らしの果てに自殺してしまいました。

 だからこそ、虐待された当事者100人がその痛みを多くの人に知らしめる本『新編 日本一醜い親への手紙』(仮題)を世に問う意義は大きいのです。
 この本に収録された手紙の内容のインパクトは、1997年版で既に実証済みです(※一部が下の動画で見られます)。



 また、本書に採用された方には1万円を謝礼として提供するため、深刻な虐待を受けている未成年が緊急に最寄りの児童相談所や子どもシェルターなどへ避難するための交通費にもなります。

 あるいは、相談料が高くて子どものお小遣いでは足を運べずにいるカウンセリングを受けることもでき、そこから虐待を児童相談所へ通告することで保護されやすくなります。
 この本の出版自体が、緊急案件の当事者を窮地から救うことになるのです。

 虐待の深刻さを知った以上、大人が自分のできることから動かなければ、児童虐待はこれまでどおり増え続け、親に殺される子どもや、生きづらい人たちが増えるばかりです。


(3) 「親への手紙」の出版から、児童虐待の最少化へ

 この『新編 日本一醜い親への手紙』(仮題)は、dZEROという出版社から今秋発売の予定です。
 制作資金は、クラウド・ファンディングで調達します。
 出資者へのリターン(対価)は、『新編 日本一醜い親への手紙』(仮題)です。

 要するに、この本を先払いで買っていただき、そのお金を制作資金にして出版しようというもの(※必要な制作資金は400万円)。
 出資者のみなさんには、全国の書店に流通する前に入手でき、領収書も発行され、本のエンドクレジットに名前を入れることもできます。

 とくに、企業には法人名義による一括購入を促し、社員みんなで「児童虐待とは何か」を学ぶことによって、虐待による逮捕で勤務先の企業のイメージダウンによる経営リスクを最小化できるようにしてほしいです。

 また、「本の内容がショッキングで怖くて読めないけど、出版は応援したい」「一刻も早く被虐待児を救いたいから寄付も受けとってほしい」という声に応え、寄付の受付も始めました。

 こうして個人・法人に広く出資者になっていただき、出版が実現できた後、編著者であるCreate Mediaは100冊を購入します。
 そして、映画・演劇・マンガ・美術・音楽などのプロのアーチストに送付し、児童虐待に関する作品の創作を動機づけることによって、さらに多くの国民に児童虐待の深刻さを知らしめ、虐待対策の予算を増やす国民運動を盛り上げます。

 さらに、「STOP! 児童虐待 100プロジェクト」と称し、プロ・アマ問わず、さまざまな分野のアーチストが『新編 日本一醜い親への手紙』(仮題)からインスパイヤされた作品を100点、3年間で生み出せるよう、アーチストたちに働きかけていきます。

 親から虐待された100人の痛みを伝えるという他にはない本『新編 日本一醜い親への手紙』(仮題)は、虐待をより速く1件でも減らすためのツール。
 この出版の目的は、「児童虐待の最少化」なのです。

 既に公募が始まっており、続々と「親への手紙」が届けられています。
 中には、メディアからの取材に応じる方も増えています。

 この出版プロジェクトを多くの方に知っていただき、『新編 日本一醜い親への手紙』(仮題)を流通させ、一刻でも速く虐待されている子をその抱えきれない苦しみから解放したいです。
 ぜひ、この出版プロジェクトを取材してください。

 最後に、いまYoutubeで話題の歌を紹介しておきます。
 今日の児童相談所の機能不全ぶりを的確に描いています。




★児童虐待をめぐって 対談◎今一生&堀潤
★このタイミングで本を出す意味 信田さよ子(臨床心理士)
★児童虐待ゼロを職場から

『新編 日本一醜い親への手紙』(仮題)編著者
 Create Media
Skype:con-isshow
Mail:conisshow@gmail.com

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